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こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。
先日は「『疲れない包丁』の選び方」という記事で、毎日の仕事で使う包丁の話をしました。今回はその姉妹編として、包丁とセットで使う「まな板」のお話です。
木製にするか、プラスチックにするか。大きいほうがいいのか、小さくてもいいのか。売り場に並ぶまな板を前に迷ってしまう方は多いと思います。
精肉専業となって約28年、生のお肉を毎日扱ってきた私の結論を先にお伝えします。
まな板選びで一番大事なのは、「熱で消毒できる素材かどうか」です。
肉屋のまな板は5枚を使い分け
お店では、用途ごとにまな板を完全に分けています。
| 場所・用途 | 枚数 | 素材 |
|---|---|---|
| 生肉処理場 | 1枚 | プラスチック |
| 馬刺し専用 | 1枚 | プラスチック |
生肉を切る場所と、惣菜を作る場所でまな板を分けています。お店で生のまま提供するのは馬刺しだけなので、専用のまな板を分けています。
お店ほど細かく分けなくても大丈夫です。ただ、ご家庭でも「生の肉を切るまな板」と「そのまま食べるものを切るまな板」を分けておくと安心です。
厚生労働省も、生の肉や魚を切ったまな板を洗わずに、野菜や果物など生で食べるものに使わないよう呼びかけています。肉用・魚用・野菜用と分けて使うと「さらに安全」とも案内しています。[1]
まな板が1枚しかないときは、先に野菜など加熱しないものを切り、生の肉や魚はあとで切る。農林水産省は、この順番も紹介しています。[2]
選ぶ基準は「熱をかけられるか」
殺菌には熱処理が一番
まな板のお手入れで、私が一番大事にしているのは「熱」です。殺菌には熱処理が一番。だからこそ、熱処理ができる素材かどうかが、まな板を選ぶときの基準になると考えています。
厚生労働省も、包丁やまな板は洗ったあとに熱湯をかけると消毒効果があると案内しています。[1] ノロウイルス対策としては、洗剤などでよく洗ったあと、85℃以上の熱湯で1分以上加熱する方法が示されています。[3]
「耐熱温度」の表示を見る
プラスチック(合成樹脂)や合成ゴムのまな板には、法律で「耐熱温度」の表示が決められています。消費者庁の規程では、原料の樹脂の種類・耐熱温度・寸法・取扱い上の注意を表示することになっています。[4][5]
買う前にぜひ見てほしいのが、この耐熱温度です。東京都の表示ハンドブックに載っている表示例では、ポリエチレン製のまな板が90℃、合成ゴム製のまな板が120℃と書かれています。[6]
お湯が沸騰するのはおよそ100℃です。鍋で煮る「煮沸」をしたいなら、耐熱温度が100℃を超えているかどうか、取扱説明書で煮沸ができると書かれているかどうかを確かめてください。
家庭用は小さくても煮沸できる素材
ご家庭のまな板について相談されたら、私は「小さくても煮沸消毒できる素材」をすすめています。
小さめなら、鍋やシンクに入れやすく、熱をかけるハードルが下がります(台所のスペースにもよります)。うちのお店でも、まな板を鍋で煮るのではなく、やかんで沸かした熱湯をかけて消毒しています。ご家庭でも、やかんのお湯をかける、小さめなら鍋で煮沸する、どちらもやりやすい方法です。
たとえば、野菜やパン用にはふだんのまな板、生の肉用には小さめで煮沸できるまな板、という2枚持ちもひとつの方法です。
素材別の特徴
| 素材 | 熱の扱い | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| プラスチック(合成樹脂) | 耐熱温度は製品ごとに違う。表示を確認[4] | 熱湯や煮沸ができるかは製品の表示しだい |
| 合成ゴム・エラストマー | 耐熱130℃で煮沸・熱湯消毒ができると表示した製品もある[10] | 製品ごとに耐熱温度や食洗機対応が違う |
木製のまな板
お店の惣菜厨房でも、木製のまな板を2枚使っています。
木製のまな板は、メーカーによって、洗ってから熱湯をかけることや、よく乾かして保管することが案内されています。[7][8] 一方で、長時間水に浸けたり、食洗機で洗って乾かしたりすると、割れや反りの原因になるとも注意されています。[7][9]
塩素系の漂白剤は、変色の原因になるとして使用を控えるよう案内している木製まな板もあります。[9] 花王も、木製品は変色することがあるので、目立たない場所で確かめてから使うよう案内しています。[11]
うちのまな板は大きいので、鍋で煮る煮沸ではなく、「よく洗ってから熱湯をかける」「しっかり乾かす」手入れと組み合わせて使っています。
プラスチックのまな板
お店の生肉処理場と馬刺し専用のまな板は、どちらもプラスチックです。
プラスチックのまな板は、耐熱温度の表示を見て選べるのがよいところです。熱湯をかけられるか、煮沸できるか、食洗機を使えるかは製品によって違います。買う前に表示と取扱説明書を確かめてください。
合成ゴム・エラストマーのまな板
「煮沸できるまな板」を探すときに候補になるのが、合成ゴムやエラストマーのまな板です。耐熱温度130℃で、煮沸・熱湯消毒・食洗機に対応すると表示している製品もあります。[10]
ただし、耐熱温度が低めのエラストマー製品もあるので、「エラストマーだから大丈夫」と決めつけず、一枚ずつ表示を確かめてください。
肉を切ったあとのお手入れ
洗ってから熱をかける
生の肉を切ったまな板は、まず洗剤でしっかり洗います。厚生労働省も、使ったあとはすぐに洗剤と流水でよく洗い、そのあと熱湯をかけると消毒効果があると案内しています。[1]
ここで気をつけたいのが、汚れが残ったまま熱湯をかけないことです。肉などのたんぱく質がついたままだと、熱で固まって落ちにくくなると案内しているメーカーもあります。[12] 「先に洗う、熱はあと」の順番を覚えておいてください。熱湯を使うときは、やけどにも気をつけてください。
漂白剤を使う場合は、まな板と漂白剤の両方の表示を確かめます。塩素系の製品を酸性タイプの製品と混ぜないなど、使用上の注意も守ってください。[2][11]
時間をかけてしっかり乾かす
熱と同じくらい大事にしているのが乾燥です。時間をかけて、しっかり乾かすこと。ジメジメさせず、水が切れる状態を保つことが大事です。
洗ったまな板を、濡れたままシンクに寝かせておくのは避けたいところです。水気を拭き取り、立てかけて水が切れるようにしておくだけでも違います。木製のまな板では、直射日光や熱風で急に乾かすと割れや反りの原因になるため、風通しのよい日陰で乾かすよう案内されています。[9]
まな板を買うときは、置き場所も一緒に考えておくと安心です。立てて置けるスタンドや、水が切れる場所があるか。こうした「乾かしやすさ」も、使い続けやすさにつながります。
包丁とまな板はセットで考える
包丁の記事では、疲れにくくするには「切れ味を保つこと」が一番、とお話ししました。まな板は、その包丁の刃を毎日受け止める道具です。
よく切れる包丁と、清潔に保てるまな板。この2つがそろうと、お肉を切る時間がぐっと気持ちよくなります。
まとめ
- まな板選びで一番大事なのは「熱で消毒できる素材かどうか」
- お店では惣菜厨房・生肉処理場・馬刺し専用でまな板を完全に分けている
- ご家庭でも、生の肉用とそのまま食べるもの用を分けると安心
- 家庭用には「小さくても煮沸消毒できる素材」がおすすめ
- プラスチックや合成ゴムは「耐熱温度」の表示を確認する
- お手入れは「洗ってから熱をかける」。そのあと時間をかけてしっかり乾かす
家族のために切ったお肉が、おいしく、安心して食卓に並ぶように。まずは今お使いのまな板の耐熱温度を、裏の表示で確かめるところから始めてみてください。
出典
- 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」
- 農林水産省「これで解決!食中毒予防のポイント」
- 厚生労働省「ノロウイルスによる食中毒の予防について紹介します。」
- 消費者庁「合成樹脂加工品品質表示規程」
- 消費者庁「合成ゴム製器具:まな板」
- 東京くらしWEB「家庭用品品質表示法 ハンドブック」
- 市原木工所「お手入れ方法」
- 竹虎「四万十ひのきまな板について」
- ゆとりの空間「四万十ひのきのまな板 取り扱い・お手入れ方法」
- ビタクラフト 抗菌まな板 小(楽天市場の商品ページ)
- 花王「まな板を衛生的に保つには?」
- ディノス「まな板の寿命は?」

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