豚バラ肉の解凍方法、本当に味は変わるのか?肉屋が3日間かけて食べ比べてみました

肉屋の店主が冷水解凍・冷蔵解凍・常温解凍3種の豚バラ肉を味見している様子のイラスト

こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。

「冷凍したお肉、解凍方法によって味は変わるんですか?」というご質問を、お客様からいただくことがあります。実は私自身、はっきりと自信を持って答えられていませんでした。「冷蔵庫でゆっくり解凍するのが一番」というのは肉屋の常識として知ってはいましたが、実際にどれくらい差が出るのかを、自分の舌で確かめたことはなかったんです。

人から聞いた話をそのまま伝えるより、自分で試して確かめたことを伝えたい。そう思い立って、8月9日から11日にかけて、3日間かけて解凍方法の食べ比べ実験をやってみました。

目次

実験の内容

使ったのは、うちの店でも扱っている麓山高原豚のバラ肉です。同じ産地・同じ部位の肉を使い、解凍方法だけを変えて、3日間で1パターンずつ試しました。

  • 冷水解凍:密閉した状態で氷水に沈めて1時間
  • 冷蔵解凍:冷蔵庫でゆっくり5時間
  • 常温解凍:室温に置いて1時間

解凍後は、どのパターンも同じ調理法(茹でる)で揃えて、味や食感を公平に比較できるようにしました。味見は私を含めて3人で行いました。

真空パックの豚バラ肉をシンクのボウルで氷水解凍している様子

結果

味の支持は、3人中2人が冷水解凍、1人が冷蔵解凍という結果でした。

食感は、常温解凍だけ少しモサモサとした感じがあり、冷水解凍と冷蔵解凍の2つは、3人とも「柔らかい」という点で意見が一致しました。

総合的に一番良かったかを聞くと、冷水解凍が1人、冷蔵解凍が2人。実は「味」の支持とは逆転する結果になりました。味は好きだけど総合評価では別、という人がいたということですね。

そして一番意外だったのは、3パターンとも甲乙つけがたいレベルで、共通して甘みがあって美味しかったことです。正直、もっとはっきり差が出ると予想していたので、これには驚きました。

冷水解凍・冷蔵解凍・常温解凍でそれぞれ茹でた豚バラ肉を3つの器に並べて比較している写真

それでも常温解凍はおすすめしません

ここまで読むと「じゃあ常温でもいいじゃないか」と思うかもしれませんが、それは違います。

今回の常温解凍は、あくまで1時間という短い時間、かつ味の比較のために管理した条件下での結果です。お肉の温度が10〜60℃の「危険温度帯」に長く置かれると、時間や季節(特に夏場)によって菌が急激に増えるリスクがあります。今回たまたま美味しく食べられたからといって、安全性が保証されるわけではありません。

保存・解凍の基本的な考え方は、以前まとめた「お肉を美味しく保存する3原則」でも詳しく書いていますので、そちらも参考にしてください。安全に美味しく食べるなら、やはり冷水解凍か冷蔵解凍をおすすめします。

まとめ

  • 麓山高原豚バラ肉で、冷水解凍(1時間)・冷蔵解凍(5時間)・常温解凍(1時間)を3日間かけて食べ比べ
  • 味の支持は冷水2人・冷蔵1人、総合評価では冷水1人・冷蔵2人と逆転
  • 常温解凍だけ食感にわずかなモサモサ感あり、冷水と冷蔵は「柔らかい」で一致
  • 3パターンとも甲乙つけがたく、共通して甘みがあって美味しかったのが一番の驚き
  • ただし常温解凍は安全面でおすすめしません。選ぶなら冷水解凍か冷蔵解凍を

冷水解凍と冷蔵解凍、どちらを選んでも美味しさに大きな差はありません。時間があるときは冷蔵庫でじっくり、急いでいるときは氷水で。安心して選んでいただけたらと思います。

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