物価が上がり続ける今だからこそ、比較的お求めやすい食材を、美味しく、無駄なく楽しんでいただきたい。今日はそんな想いを込めて、肉屋である私が実際にやっている、豚の「白ホルモン」の下処理とレシピをご紹介します。
白ホルモンって、豚のどの部位?
「白ホルモン」というのは、業界での呼び方です。豚の小腸、大腸、胃袋(ガツ)、直腸(てっぽう)、そして雌であればコブクロ。これらをまとめて「白ホルモン」と呼んでいます。
「ホルモン」という名前の由来には諸説ありますが、その一つに「放るもん(捨てるもの)」から来ているという説があります。かつては、捨てられてしまうこともあった部位。それを、どう「いただくもの」に変えていくか。私たち肉屋の腕の見せどころだと思っています。
スーパーとは違う、下処理のコツ
スーパーに並んでいる白ホルモンは、すでに成形され、カットされた状態のものがほとんどです。
けれど、肉屋に入ってくる段階では、軽く湯通しされ、固まった状態で届きます。まずここから、脂の白い塊部分を適度に残しながら捌いていきます。スーパーではこの脂身、ほとんど残さず削ぎ落とされてしまうのですが、この脂身にこそ、旨みと食感があると私は思っています。もし白ホルモンを手に入れる機会があれば、脂身を少し残す下処理、ぜひ試してみてください。
捌いたあとは、大きめにカットします。小さく切りすぎないのも、食感を活かすポイントです。


90分以上茹でて、柔らかく
大きめにカットした白ホルモンを、柔らかくするために90分以上じっくりボイルします。これは大鍋でまとめて仕込む場合の時間なので、ご家庭で少量茹でる場合はもう少し短くても大丈夫です。竹串がすっと通るくらいを目安にしてみてください。
茹で上がったら、一旦洗い流して粗熱を取ります。ここまでの手間、実は結構かかっています。

塩タレ唐揚げと味噌だれ焼き ― 2つの味付け
冷ました白ホルモンは、2つの味付けにしています。
一つは、塩タレ(上北農産)に漬け込み、片栗粉をまぶして揚げる「塩唐揚げ」。
もう一つは、味噌タレ(日本食研)に漬け込み、フライパンで炒める「味噌焼き」。
どちらも市販のタレを使っていますが、下処理さえしっかりしていれば、家庭でも十分美味しく作れると思います。

もつ煮込みにするのもおすすめ ― 「なんでこんなに柔らかいの?」
白ホルモンの使い道は、唐揚げや焼き物だけではありません。味噌ベースの「もつ煮込み」もおすすめです。
長ネギ、にんにく、生姜。薬味をたっぷりごま油で炒めてから、一度煮込み、そしてもう一度煮込む。そこから味付けをする、手間を惜しまない作り方です。
お客様からは「なんでこんなに柔らかいの?」とよく驚かれます。ご家庭で作る場合も、面倒がらずに二度煮込んでみると、柔らかさがぐっと変わると思います。

脂身もラードに ― 使いきる、を実践する
内臓から出る脂肪も、無駄にはしません。粗めに刻んでラードにするのです。お店では機械を使っていますが、ご家庭であれば包丁で細かく刻むだけで同じことができます。このラードで、ホルモンの塩唐揚げを揚げ、フライパンに引いて味噌焼きを仕上げます。
そして、ラードを取ったあとの「かす」まで無駄にしません。チャーハンや焼きそばに使うと、旨みがぐっとアップします。

命をいただく、無駄なく美味しく
生き物の命をいただく以上、大切に、余すことなくいただきたい。それが、肉屋としての私の想いです。
物価高騰が続く今だからこそ、比較的お求めやすい白ホルモンを、丁寧に仕込み、美味しく食べていただきたい。そんな気持ちで、日々この仕事と向き合っています。
「39(サンキュー)」の気持ちを込めて。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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