本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。
こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。
元は養豚場を営み、いまは精肉専業となって約28年。毎日お肉を切って並べていますが、お肉の色はとても素直です。空気に触れたか、どんな温度に置かれたか、どれくらい時間がたったか。その「くらし」がそのまま色に出ます。
色の仕組みを少し知っておくと、売り場で迷ったときや、冷蔵庫を開けて「あれ?」と思ったときに落ち着いて判断できます。今回は、お肉の色についてよくある疑問を9つ選んで、仕組みと店主としての考えをあわせてお答えします。
なお、ここで紹介する色の仕組みは、一般的な食品科学の知見をもとにしたものです。安全かどうかは色だけで決めず、商品に表示された期限と保存方法を必ず守ってください。
まず知っておきたい色の正体
生のお肉の赤い色は、主に「ミオグロビン」という筋肉の中の色素たんぱく質によるものです。ミオグロビンが多いほど赤みは濃くなり、牛肉は豚肉より多いので色が濃くなります(日本食肉消費総合センター)。
ミオグロビンは、酸素との関係で大きく3つの状態に変わります(日本食肉科学会)。
| 状態 | 色 | どんなとき |
|---|---|---|
| ミオグロビン(デオキシミオグロビン) | 紫がかった暗い赤 | 空気(酸素)に触れていない |
| オキシミオグロビン | 鮮やかな赤 | 空気に触れて酸素と結びついた |
| メトミオグロビン | 茶色っぽい色 | 時間がたち、酸化が進んだ |
この表を頭の片隅に置いておくと、これからの9つの疑問がぐっとわかりやすくなります。
Q1. 買ってすぐなのに黒ずんでいる・暗い気がする
店頭でも実際に聞かれる疑問です。
A. 空気に触れていないと、お肉はもともと暗い紫がかった赤色をしています。たいていは自然な現象です。
切ったばかりのお肉の断面は、酸素が少ないので紫がかった暗い赤色です。空気に触れるとしだいに酸素と結びつき、鮮やかな赤色に変わります。この変化は「ブルーミング(開花)」とも呼ばれます(日本食肉科学会)。
真空パックのお肉が暗く見えるのも同じ理由です。袋を開けてしばらく空気に触れさせると、赤みが戻ってくることがあります。
店主から 当店では挽肉を作り置きせず、ご注文を受けてから挽いています。挽いてからの時間が短いので、自分で言うのもなんですが、挽肉は状態が良い方だと思っています。
Q2. パックの中で場所によって色が違う
A. お肉の重なり具合や、元のお肉の違いで色に差が出ることがあります。
お肉が重なっている部分は酸素に触れにくいので、本来の赤黒い色のままになります(全国食肉事業協同組合連合会)。上に出ている部分が鮮やかな赤で、下や重なった部分が暗い、というのはよくあることです。
店主から これは私の実感ですが、切り落としやこま切れ、挽肉などは、1パックの中のお肉が同じ個体・同じ部位・同じ日に処理したものとは限りません。そのため、もともとの色の濃さが少しずつ違うことも一因かもしれない、と感じています。
ただし、一部だけが灰色や緑っぽくくすんでいる、においが気になる、という場合は話が別です。Q6のサインを確認してください。
Q3. 赤身が茶色っぽく変色した、まだ食べられる?
A. 茶色への変化は酸化による自然な変化で、それだけで傷んでいるとは限りません。
鮮やかな赤のお肉も、酸素に触れ続けるとメトミオグロビンに変わり、茶色っぽくなります。米国農務省の資料でも、この色の変化だけで傷んでいるわけではないと説明されています(USDA「Color of Meat and Poultry」)。
とはいえ、茶色は「時間がたった」というサインでもあります。極端に変色したものは鮮度が落ちているので注意が必要です(全国食肉事業協同組合連合会)。
家庭での目安は次のとおりです。
- 期限内で、においやぬめりに異常がなければ、早めに加熱調理して使い切る
- 消費期限を過ぎたものは、色が赤くても茶色でも食べない
期限の読み方は「期限表示の疑問9選」で詳しくお話ししています。
Q4. 冷凍したら色が変わった、大丈夫?
A. 冷凍中も色は少しずつ変わります。色が薄くなったり暗くなったりすること自体は、安全性への影響はないとされています。
冷凍庫の中でも、冷蔵庫と同じように色は変化します。米国農務省の資料では、色あせや黒ずみは安全性に影響しないとされています。表面に白く乾いた部分が出たら「冷凍焼け」で、食べても安全ですが、その部分はパサついて味が落ちるので、気になれば切り取ってください(USDA「Color of Meat and Poultry」)。
店主から 冷凍での色の変化は、温度管理と保存期間が大きく関わります。いちばんのポイントは、鮮度の良い状態のうちに、速やかに冷凍することです。「使い切れなかったら冷凍しよう」と冷蔵庫に置いておくより、買ってきた日に冷凍する分を分けておくほうが、色も味も守りやすくなります。
冷凍保存の目安期間は「保存の疑問9選」にまとめています。
Q5. 冷凍する時のコツはある?
A. 空気に触れない状態にすることがいちばんです。
店主から 店頭でも「空気が入らない状態がベストです」とお伝えしています。真空にできればいちばんですが、ご家庭ならラップをお肉にぴったり密着させるだけでも違います。
ご家庭でのやり方は、次の流れがおすすめです。
- 1回に使う分ずつ小分けにする
- ラップをお肉の表面にぴったり密着させて包む
- 冷凍用の保存袋に入れ、空気をしっかり抜いて閉じる
- 平らにならして冷凍する
包装の空気をできるだけ抜くと、冷凍中の色の変化を抑えやすくなります(USDA「Color of Meat and Poultry」)。解凍の仕方で味がどう変わるかは、「豚バラ肉の解凍方法の食べ比べ」で実際に試しています。
本格派:真空パック機
しっかり空気を抜きたいなら、家庭用の真空パック機が確実です。
- 吸引力85Kpa、専用袋100枚セットプレゼント
- 14,980円、送料無料
- レビュー4.62(3,122件)
手軽派:ジップロックのフリーザーバッグ
機械を買うほどでは、という方には、厚手でしっかり密閉できるフリーザーバッグがおすすめです。普通の保存袋よりも空気を抜きやすく、冷凍焼け対策になります。
- 公式Ziploc(ジップロック)ブランド、Mサイズ120枚入
- 2,607円(+送料770円)
- レビュー4.64(42件)
Q6. 本当に傷んでいる時の色のサインは?
A. 色だけでなく、「におい」「ぬめり」「パックの膨らみ」をあわせて見てください。
傷むと、色があせたり暗くなったりすることがあります。そのうえで、いやなにおいがする、触るとべたつく・ぬめりがある、といった変化が出たら使わないように、とされています(USDA「Color of Meat and Poultry」)。
| チェック項目 | こんな状態は食べない |
|---|---|
| 色 | 灰色っぽい、緑っぽいくすみが肉そのものに出ている |
| 手ざわり | ぬめりがある、べたつく、糸を引く |
| におい | 酸っぱいにおい、いやなにおいがする |
| パック | 袋やパックがふくらんでいる |
| 期限 | 消費期限を過ぎている |
いちばん大事なのは最後の行です。見た目やにおいに異常がなくても、消費期限を過ぎたものは食べないでください。食中毒の原因になる菌は、目やにおいでは判断できません。迷ったときは食べない、を合言葉にしてください。
Q7. お肉が虹色に光って見える、これは変色?
A. 光の反射による現象で、傷みとは関係ないとされています。
ローストビーフの薄切りやハムなどの切り口が、緑や赤、オレンジ色に光って見えることがあります。これは筋肉の繊維の並び方によって光が分かれて見える現象と考えられていて、海外の食品安全機関も、品質や安全性の低下を示すものではないとしています(香港食物安全中心、USDA「Color of Meat and Poultry」)。
Q6の「緑っぽいくすみ」との見分け方の目安はこちらです。
- 虹色の光沢:見る角度で色が変わったり消えたりする。表面がつやっと光る
- 傷みのサイン:肉そのものがくすんだ色になり、においやぬめりを伴うことが多い
Q8. 挽肉は特に色が変わりやすい気がする、なぜ?
A. 細かく挽くことで空気に触れる面が一気に増え、温度や酸化の影響を受けやすくなるからです。
塊肉なら空気に触れるのは表面だけですが、挽肉は細かくなった一粒一粒が空気に触れます。そのぶん色も変わりやすく、鮮度も落ちやすいお肉です。一般に、挽く工程で表面の菌が中に混ざりやすいため、塊肉より早めに使い切ることが大切だとされています。
店主から だからこそ当店では、挽肉は作り置きをせず、日にちと温度の管理に特に気をつけています。挽肉はいちばん気をつかうお肉のひとつです。
ご家庭では、買ったらすぐ冷蔵庫へ、使い切れない分は早めに冷凍、そして調理の際は中までしっかり火を通してください。
Q9. パックの表面と内側で色が違う、これは普通?
A. 普通のことです。表面は空気に触れて鮮やかな赤、内側は空気が届かず暗めの紫赤になりやすいからです。
空気に触れた表面は酸素と結びついて鮮やかな赤になりますが、内側には酸素が届きにくいので、本来の紫がかった暗い赤色のままです(日本食肉科学会)。挽肉の内側が灰色がかった茶色に見えることもありますが、米国農務省の資料では、この色の違いは傷みや古さを示すものではないと説明されています(USDA「Color of Meat and Poultry」)。
内側の暗い部分も、空気に触れさせるとしだいに赤みが出てきます。ただし、内側にもいやなにおいやぬめりがある場合は、Q6のサインとして判断してください。
まとめ 色は空気と温度と時間の記録
お肉の色は、空気・温度・時間によって自然に変わります。
- 暗い紫赤:空気に触れていないだけのことが多い
- 鮮やかな赤:空気に触れて酸素と結びついた状態
- 茶色:時間がたって酸化が進んだ状態。早めに使い切る
- 虹色の光沢:光の反射によるもので、傷みとは関係ないとされる
- 本当に気をつけたいのは、においやぬめり、パックの膨らみ、そして消費期限
色の理由がわかると、「捨てなくてよかったもの」と「食べてはいけないもの」を落ち着いて分けられるようになります。せっかく選んだお肉を、ご家族みんなで安心しておいしく食べてほしい。それが、毎日お肉を切っている肉屋としての願いです。
あわせて読みたい
- 保存の疑問9選:冷蔵・冷凍の日持ちや解凍のこと
- 期限表示の疑問9選:消費期限と賞味期限の読み方
- 部位選びの疑問9選:料理に合わせたお肉の選び方
- 豚バラ肉の解凍方法の食べ比べ:解凍の仕方で味は変わるのか
参考資料
- 米国農務省(USDA)食品安全検査局「The Color of Meat and Poultry」: https://www.govinfo.gov/content/pkg/GOVPUB-A110-PURL-gpo26777/pdf/GOVPUB-A110-PURL-gpo26777.pdf
- 香港特別行政区政府 食物安全中心「肉類呈神秘的金屬色」: https://www.cfs.gov.hk/tc_chi/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_134_03.html
- 日本食肉科学会「食肉用語の解説 食肉の色」: https://jmeatsci.org/column/食肉の色
- 公益財団法人日本食肉消費総合センター「用語集 ミオグロビン」: https://www.jmi.or.jp/info/word/ma/ma_028.html
- 全国食肉事業協同組合連合会「変色したお肉は食べても大丈夫?」: https://www.ajmic.or.jp/shouhisha/pdf/2023/q18.pdf

コメント