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こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。
精肉専業となって約28年。店の裏では、包丁やまな板と同じくらい、毎日のように使っている道具があるんです。それが業務用の真空パック機です。
「家でも真空パック機を使ってみたいけど、本当に役に立つのかな」 「買ってから使わなくなったらもったいないし……」
そんなふうに迷っている方も多いですよね。この記事では、肉屋が実際にどんなものを真空にしているのか、どのくらい保存できると感じているのか、そしてうまくいかなかった経験まで、そのままお話しします。家庭用を選ぶときのヒントになればうれしいです。
店で使っているのは「VAC-STAR 2500」
うちの店で使っているのは、業務用の「VAC-STAR 2500」という機種です。

家庭用の真空パック機と比べてすごいと感じるのは、なんといっても空気を抜く力です。圧縮率が高くて、しっかり空気を抜いてくれます。比較的大きなものも真空にできるので、肉屋の仕事にはとても助かっているんです。
肉屋は何を真空にしているのか
店では、こんなものを真空パックにしています。
ジャンボシュウマイの冷凍4個パック
店で手作りしているジャンボシュウマイは、4個ずつ真空パックにして冷凍しています。空気をしっかり抜いておくと、冷凍庫の中でもかさばらず、すっきり並べられるんですよ。


ジャンボシュウマイについては、横浜から白河へ受け継ぐ、肉屋の手作りジャンボシュウマイの記事でくわしくお話ししています。
牛肉の小分け
牛肉は、使いやすい量に分けて真空にしています。小分けにしておくと、使う分だけ取り出せますよね。写真は、ローストビーフ用に小分けにしたグラスフェッドビーフです。

仕込みの冷凍保存
仕込んだものを冷凍で保存するときにも使っています。ローストチキンや、下処理した牛もつ、俵形に成形したカニクリームコロッケなども、こうして真空にしてから冷凍しています。



挽き材ブロックの冷凍保存
挽肉にする前の肉(挽き材)も、ブロックのまま真空にして冷凍しています。
家庭でいえば、まとめ買いしたお肉や、ふるさと納税で届いた大容量のお肉を分けるときに役立つ使い方だと思います。小分けのやり方はふるさと納税の肉が届いたら|精肉店主が教える”小分け直し”と冷凍の技術【失敗しない90分】の記事でもまとめています。
真空にすると、どのくらい持つ?
いちばん聞かれるのがこの質問です。正直にいうと、「物による」んです。
店で使ってきた実感では、こんな感じです。
- ブロック肉:比較的長めに持つ
- 挽肉や惣菜:1〜3ヶ月が目安
ブロック肉は空気に触れる面が少ないぶん、長めに持つと感じています。いっぽう挽肉や惣菜は、ブロック肉ほど長くは置かないようにしています。
これは業務用の真空パック機でしっかり空気を抜いた上での、店での実感です。農林水産省は、一般的な家庭での冷凍(ホームフリージング)について、乾燥や脂の酸化を防ぐためにできるだけ空気を遮断すること、そして2〜3週間以内に使い切ることを目安として挙げています(農林水産省「ホームフリージングを行う際の注意点」)。冷凍室は−18℃以下で保存するよう呼びかけています(農林水産省 aff 2021年7月号)。
空気をどれだけ抜けるかによって、持ちの感覚は変わってきます。家庭用の真空パック機でも、きちんと空気を抜ければ、普通にラップで包むよりは長持ちしやすいはずです。ただし、真空パックにしたからといって、いつまでも持つわけではありません。日付を書いておいて、早めに使い切ってくださいね。
冷蔵・冷凍の期限についてはお肉の冷蔵・冷凍、正しい期限は?|精肉店主が答える保存の疑問9選、挽肉については「挽き肉って何日持つ?」精肉店主が答える挽き肉の疑問9選でもお話ししています。
真空パックは「常温で置いていい」わけではありません
ここは大事なので、ひとつだけお伝えさせてください。
真空パックにすると、なんとなく日持ちしそうに見えますよね。でも厚生労働省は、真空パックなどの密封した食品でも、常温で置いておくとボツリヌス菌が増えて、命にかかわる食中毒の原因になることがあると注意を呼びかけています(厚生労働省「真空パック詰食品のボツリヌス食中毒対策」)。
家で真空にしたお肉は、必ず冷蔵庫か冷凍庫に入れてください。「真空だから大丈夫」とは考えないでくださいね。
失敗談:うまくいかなかったこと
業務用の機械を使っていても、失敗はあるんです。
空気がうまく抜けない
空気がうまく抜けないことがあります。せっかく真空にしたつもりでも、袋の中に空気が残ってしまうんですよね。
袋のサイズが合わず、圧縮がかからない
中身に対して袋が大きすぎたり小さすぎたりすると、圧縮がかからないことがあります。真空袋と中身のサイズのバランスは、思っている以上に大事です。
柔らかいものを圧縮しすぎて、ぺちゃんこに
逆の失敗もあります。柔らかいものを圧縮しすぎて、ぺちゃんこにしてしまったことがあるんです。空気をしっかり抜けるのは業務用のいいところですが、強ければいいというわけではないんですね。
冷凍のコロッケは、本来は軽く空気を抜く程度の「ふんわり真空」が基本です。試しにしっかり圧をかけてみると、こんなふうに潰れてしまいました。

失敗から学んだ、真空パックのコツ
この失敗からわかったことを、家庭でも使える形にまとめておきます。
- 袋は中身に合ったサイズを選ぶ(大きすぎても小さすぎても圧縮がかかりにくくなります)
- 真空にしたら、空気が残っていないか目で確かめる
- 柔らかいものは、圧縮しすぎないように気をつける
- 袋に日付と中身を書いておく
- 真空にしたあとは、すぐ冷蔵庫か冷凍庫へ
家庭用を選ぶときに見てほしいこと
業務用を使ってきた肉屋として、家庭用を選ぶときはこんなところを見てほしいと思っています。これは店で使ってきた経験からの私の考えです。
何を、どのくらいの大きさで真空にしたいか
業務用の強みは、比較的大きなものも真空にできることでした。家庭でブロック肉や大容量のお肉を分けたいなら、使える袋の幅や、入れたいものの大きさに合うかを商品ページで確かめてくださいね。
柔らかいものにも使いたいか
空気を抜く力が強いと、柔らかいものはつぶれてしまうことがあります。柔らかいものも真空にしたいなら、そういう使い方ができる機種かどうかを確かめておくと安心です。
専用の袋がずっと必要になる
袋のサイズが合わないと、うまく真空になりません。本体だけでなく、袋の種類や手に入りやすさも見ておくといいですよ。
家庭用真空パック機の紹介
まとめ
肉屋にとって、真空パック機はなくてはならない道具です。ジャンボシュウマイのパックも、牛肉の小分けも、仕込みの保存も、この機械に支えてもらっています。
ただ、業務用でも空気が抜けなかったり、つぶしすぎてしまったりと、失敗はあります。大事なのは、中身に合った袋を選ぶこと、空気が抜けたかを確かめること、そして真空にしたら必ず冷やして、早めに使い切ることです。
まとめ買いしたお肉を、使う分だけ取り出して、いつもの食卓に出せる。真空パック機は、そんな毎日のちょっとした助けになってくれる道具だと思います。

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