こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。
店頭でお客様から「グラスフェッドビーフって何が違うの?」というご質問をいただく機会が増えてきました。健康志向の高まりとともに注目されている食材ですが、グレインフェッドビーフと何がどう違うのか、なぜ値段が高いのか、正しく理解している方は意外と少ないんですよね。
この記事では、グラスフェッドビーフの定義から、味・見た目・栄養面の違い、価格が高くなる理由、選び方のポイントまでを、精肉店の視点から整理して解説していきます。牛肉選びの基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
グラスフェッドビーフの定義
グラスフェッドビーフ(Grass-fed beef)とは、牧草や野草などの飼料(フォレージ)を中心に育てられた牛の肉のことです。対するグレインフェッドビーフ(Grain-fed beef)は、生育の最終段階でトウモロコシや大豆などの穀物を中心とした飼料に切り替えて育てられた牛の肉を指します。
ほとんどの牛は生まれてから最初の数ヶ月〜1年程度は牧草地で母乳や牧草を食べて育ちますが、その後の「仕上げ(フィニッシング)」期間に何を食べさせるかで名称が分かれます。
- グレインフェッド:仕上げの3〜6ヶ月間、フィードロット(肥育場)でトウモロコシや穀物を与えて急速に脂肪(サシ)をつける
- グラスフェッド(グラスフィニッシュ):生涯を通じて牧草・野草のみを食べさせ、穀物の仕上げ期間を設けない
なお、「グラスフェッド」表示のルールは国や団体によって厳密さが異なり、「生涯の大半を牧草で育てば、最後だけ穀物を与えても表示可能」なケースもあるため、より厳格な基準を示す「グラスフィニッシュド(Grass-finished)」という表記のほうが、穀物を一切使っていないことをより正確に保証します。当店で商品を選ぶ際も、この表記の違いを気にしていただくとより安心です。
味・見た目・肉質の違い
飼料が変わると、脂肪の色や風味、肉の質感にも明確な差が出ます。実際に店頭でカットしていても、この違いはひと目で分かります。
| 項目 | グレインフェッド | グラスフェッド |
|---|---|---|
| 脂肪の色 | 白色に近い | 牧草由来のβ-カロテンにより黄色みがかる |
| サシ(霜降り) | 多く、濃厚でまろやかな味わい | 少なめで、赤身が中心 |
| 風味 | バターのようなコクとまろやかさ | より複合的で「牛肉らしい」濃い風味、独特の香りを感じる人も |
| 食感 | 脂が多く、柔らかくジューシー | 引き締まっており、しっかりとした歯ごたえ |
グラスフェッドビーフは脂肪が少ない分、焼き加減や火の通し方にコツが必要です。加熱しすぎると硬くなりやすいため、レア〜ミディアムレアで仕上げたり、低温調理を活用するのがおすすめです。ご購入の際は、当店でも部位に応じた焼き方のアドバイスをさせていただいています。
栄養面の違い
グラスフェッドビーフは、グレインフェッドビーフと比べて以下のような栄養的な特徴があるとする研究報告が複数あります。
- オメガ3脂肪酸が多い:2〜6倍のオメガ3脂肪酸を含み、オメガ6とオメガ3の比率も炎症を抑えやすい約2:1になるとされています。
- CLA(共役リノール酸)が多い:グレインフェッドの2〜3倍というデータもあります。
- ビタミンA・Eが豊富:β-カロテンやビタミンEの含有量が約3倍という報告があります。
- 総脂質・カロリーが低め:サシが少ない分、同量ならカロリーや飽和脂肪酸量も抑えられる傾向があります。
部位によって脂質量がどれくらい変わるかは「部位選びで脂質は3倍以上変わる」でも詳しく紹介していますので、脂肪の質・量が気になる方はあわせてご覧ください。
これらの栄養的な違いは、糖質制限中の方や、血糖管理を意識している方にとっても知っておく価値のあるポイントです。当店でも血糖管理を意識してグラスフェッドビーフをお探しのお客様が増えています。ただし、「グラスフェッドビーフが健康に優れている」と断定できるだけの決定的な臨床研究はまだなく、過度な期待は禁物です。
なぜグラスフェッドビーフは価格が高いのか
グラスフェッドビーフがグレインフェッドより1.5〜2倍前後高くなることが多いのには、明確な理由があります。
- 成育期間が長い:牧草だけで太らせるには、穀物肥育より長い期間(半年〜1年以上)が必要で、その分の飼料・土地・人件費がかかります。
- 1頭あたりの生産効率が低い:牧草のみで育った牛は肥育場で急速に太らせた牛より体重(出荷時重量)が軽くなりやすく、1頭から取れる肉の量が少なくなります。
- 小規模生産が多い:大規模フィードロット方式に比べ、牧草地での放牧は家族経営など小規模な牧場が多く、規模の経済が働きにくい構造があります。
- 抗生物質・成長ホルモン不使用のコスト:多くのグラスフェッド牧場では抗生物質や成長ホルモンを使わず育てるため、病気のリスク管理や成育速度の面で追加コストが発生します。
米国の実勢価格では、グラスフェッドの挽き肉が1ポンドあたり5.5〜8ドル程度、リブロースは18〜25ドル程度と、グレインフェッドよりおおむね1.5〜2倍の価格帯になっています。当店でお取り扱いしている価格帯も、こうした生産背景を踏まえたものになっています。
主な産地
日本で流通しているグラスフェッドビーフの多くは輸入品です。代表的な産地は次の通りです。
- ニュージーランド:一年中牧草が育つ温暖な気候を活かし、生涯放牧でグラスフィニッシュされた牛肉の代表的な産地です。
- オーストラリア:広大な牧草地を活かした放牧牛が多く、赤身肉として日本でも比較的手に入りやすい産地です。
- アメリカ:グラスフェッドを掲げるブランドも増えていますが、前述の通り表示基準の厳密さはブランドによって差があります。
- 日本国内:国内では穀物肥育(グレインフェッド)が主流のため、純粋なグラスフェッドビーフの生産はまだ少数派です。取り扱う専門店も限られています。
選び方のポイント
- 「グラスフィニッシュド」表記を確認する:仕上げまで牧草だけで育ったかどうかが、栄養面の違いを最も大きく左右します。
- 脂肪の色を見る:黄色みがかった脂肪はグラスフェッドの特徴の一つです。
- 用途に合わせて部位を選ぶ:サシを楽しみたいならグレインフェッド、赤身の風味や栄養面を重視するならグラスフェッドが向いています。
- 信頼できる販売店・産地表示を確認する:トレーサビリティが明確な生産者・専門店から購入すると安心です。
グラスフェッドビーフを試してみたい方へ
グラスフェッドビーフは仕入れのロットが大きいこともあり、当店でも常時たくさんの在庫を持てているわけではありません。まずは試してみたいという方は、産地やグラスフィニッシュド表記がしっかりした商品を選ぶところから始めてみてください。オージー・ビーフの厚切りリブアイステーキ(グラスフェッドビーフ)のような、赤身のうまみがしっかり感じられる商品は、BBQやステーキでグラスフェッドの味を試すのにちょうど良いと思います。
焼き方や部位選びで迷ったときは、精肉店ならではの視点でいつでもご相談に乗りますので、お気軽にどうぞ。
まとめ
グラスフェッドビーフは、生涯牧草だけで育てられた牛肉で、グレインフェッドビーフに比べて赤身が多く、オメガ3脂肪酸やCLA、ビタミンA・Eなどの栄養素を多く含む一方、成育期間の長さや生産効率の低さから価格が高くなる傾向があります。味や食感の違いを理解し、用途に応じて選ぶことで、グラスフェッドビーフの魅力をより楽しめるはずです。
続きは「糖質制限・ケトジェニック中の人がグラスフェッドビーフを選ぶ理由」でお話ししています。
この記事はAIツールを活用して作成しています。詳しくはAboutページをご覧ください。

コメント