こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。「グラスフェッドビーフと鹿肉・イノシシ肉、結局どれが体にいいの?」というご質問をよく伺います。
この記事で使っているデータについて
栄養成分の比較記事は、引用元によって数値が微妙に違うことがあります。この記事では、以下の一次情報源に統一してデータを比較しています。
- 鹿肉・イノシシ肉・国産牛肉:文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年に基づく公式データ)
- グラスフェッドビーフ:USDA(米国農務省)FoodData Centralに収載されている「牛肉、グラスフェッド、ストリップステーキ、赤身のみ、生」(NDB No. 13000)のデータ
- 脂質の質(オメガ3・CLAなど)の比較:学術誌『Nutrition Journal』に掲載された査読済みレビュー論文(Daley et al., 2010, PMC)
なお、ジビエ(鹿肉・イノシシ肉)は個体の年齢・捕獲時期・部位によって成分が大きく変動します。ここで紹介する数値は公的な代表データベース値であり、実際に手元に届く肉の数値と多少ずれる可能性がある点はご了承ください。また鹿肉は「本州・九州じか(赤肉)」のデータを採用しています(北海道の「えぞしか」は成分がやや異なります)。
100gあたりの主要栄養成分比較
| 栄養素(可食部100gあたり) | グラスフェッドビーフ(赤身ステーキ) | 国産牛肉(乳用肥育牛・もも/脂身つき) | 鹿肉(にほんじか・赤肉) | 猪肉(脂身つき) |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 117kcal | 196kcal | 107kcal | 249kcal |
| たんぱく質 | 23.1g | 19.5g | 22.6g | 18.8g |
| 脂質 | 2.7g | 13.3g | 2.5g | 19.8g |
| コレステロール | 55mg | 69mg | 52mg | 86mg |
| 鉄 | ― | 1.4mg | 3.9mg | 2.5mg |
| 亜鉛 | ― | 4.5mg | 2.7mg | 3.2mg |
| ビタミンB2 | ― | 0.20mg | 0.34mg | 0.29mg |
| ビタミンB6 | ― | 0.32mg | 0.58mg | 0.35mg |
| ビタミンB12 | ― | 1.2μg | 1.1μg | 1.7μg |
(出典: グラスフェッドビーフ=USDA FoodData Central、国産牛肉・鹿肉・イノシシ肉=文部科学省食品成分データベース)
※USDAのデータセットにはミネラル・ビタミン類の項目が載っていないため、グラスフェッドビーフの鉄・亜鉛・ビタミン欄は「―」としています。これらの栄養素についてはアメリカの別データ(牧草牛の挽き肉など)で亜鉛4.55mg、ビタミンB12 1.97μg、鉄1.99mg/100gという報告もありますが、部位や測定方法が異なるため、単純比較は避けています。
この表から読めること
たんぱく質・脂質のバランスは鹿肉とグラスフェッドビーフが非常に近い
この比較で見る限り、鹿肉(107kcal・たんぱく質22.6g・脂質2.5g)とグラスフェッドビーフの赤身ステーキ(117kcal・たんぱく質23.1g・脂質2.7g)は、カロリー・PFCバランスがかなり近い数値を示しています。どちらも「高たんぱく・低脂質」という条件を重視する方に向いた選択肢だと思います。
イノシシ肉は脂質・カロリーが高いですが、ビタミンB12は最も豊富です
イノシシ肉(脂身つき)は249kcal・脂質19.8gと、今回比較した4種類の中で最もカロリー・脂質が高くなっています。ちなみに、ビタミンB12は1.7μgと最も多く、鉄・亜鉛も国産牛肉より豊富です。脂身が少ない赤身部位のみを選べば、これらの数値は変わってくる点も覚えておいてください。
鉄分は鹿肉が際立って多い
鉄分に注目すると、鹿肉は3.9mgと、国産牛肉(1.4mg)の約2.8倍、イノシシ肉(2.5mg)の約1.6倍の値です(文部科学省食品成分データベース)。
グラスフェッドビーフは脂質の「質」で選ばれている
上の表だけ見ると、グラスフェッドビーフはミネラル・ビタミン面でジビエに見劣りするように見えるかもしれません。
学術誌『Nutrition Journal』に掲載された査読済みレビュー(Daley et al., 2010)では、牧草肥育牛(グラスフェッド)と穀物肥育牛(グレインフェッド)の脂肪酸組成を比較した複数の研究がまとめられており、オメガ6:オメガ3の比率は牧草肥育牛で平均1.53、穀物肥育牛で平均7.65と、牧草肥育牛の方が現代の食生活で不足がちなオメガ3に近いバランスを持つと報告されています(Nutrition Journal, PMC)。この論文では、牧草肥育牛の脂肪酸組成にはCLA(共役リノール酸)やトランスバクセン酸も多く含まれる傾向があることも合わせて報告されています。
つまり、「脂質の量」で比較すればジビエの少ない方、「脂質の質(オメガ3のバランス)」で比較すればグラスフェッドビーフに独自の強みがある、という整理になります。
肉屋の視点:実際に食べて感じること
数値の比較だけでは伝わらない、実際に肉を扱う立場からの実感も共有しておきます。
- ジビエの「臭み」は処理の速さで決まる:鹿肉・イノシシ肉は「臭みがある」というイメージを持たれがちですが、これは捕獲後に内臓摘出・血抜きが行われたかどうかで大きく変わります。信頼できる処理施設(食肉処理業の許可を受けた施設)を経由した肉であれば、臭みはほとんど気になりません(詳しくは鹿肉の臭み抜き完全ガイドもご覧ください)。
- 鹿肉は加熱しすぎると一気に硬くなる:鹿肉の赤身は脂肪が少なく、火を通しすぎるとパサつきやすい肉です。ステーキで食べる場合はレア〜ミディアムレアを目安にし、厚めにスライスして手早く焼くと、しっとりとした食感を保てます。
- イノシシ肉は脂身の活かし方で満足感が変わる:イノシシ肉は脂身にコクがあるのが特徴なので、脂身を活かすなら厚切りでじっくり焼く、赤身中心で楽しむなら薄切りにして鍋や炒め物にするなど、選び方で印象が大きく変わります(猪肉ブロックの選び方・切り方も参考にしてください)。
- グラスフェッドビーフは仕上がりが安定しやすい:ジビエは個体差(年齢・捕獲時期・部位)による品質のブレが大きいのに対し、牧草肥育で管理された牛肉は年間を通じて肉質が比較的安定しています。ジビエ初心者の方や、失敗したくない場面ではグラスフェッドビーフの方が扱いやすいと感じます。
目的別の選択
- 低カロリー・低脂質を優先したい方:鹿肉が最も高たんぱく・低脂質・低カロリーです(文部科学省 食品成分データベース)
- 鉄分不足が気になる方:鹿肉の鉄分含有量(3.9mg/100g)は、今回比較した中で最も多い数値です
- 脂質の質(オメガ3バランス)にもこだわりたい方:グラスフェッドビーフは脂質量こそジビエより多いものの、オメガ6:オメガ3比が良好な脂質を摂れる点が特徴です(Nutrition Journal, PMC)
- 通年で安定して購入したい方:ジビエは狩猟時期や地域により流通量が変動しやすい食材です。グラスフェッドビーフは通販で通年安定して購入でき、部位のバリエーションも選びやすいという実用面のメリットがあります
まとめ
公的データで比較すると、鹿肉はグラスフェッドビーフに近い高たんぱく・低脂質のバランスを持ちながら、鉄分ではグラスフェッドビーフを上回ります。イノシシ肉は脂質・カロリーは高いですが、ビタミンB12や鉄・亜鉛が豊富です。グラスフェッドビーフは、脂質の「量」ではジビエに及ばないものの、オメガ3脂肪酸のバランスに優れ、通年で安定して手に入るという実用面の強みを持っています。
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この記事はAIツールを活用して作成しています。詳しくはAboutページをご覧ください。

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