【精肉店の答え】もつの下処理は水だけの下ゆで2時間で臭みゼロ | 部位別の食べ方も解説

白い器に盛られたもつ煮込み

「モツ煮をおうちで作ってみたいけど、あの独特の臭みがちゃんと取れるか不安だ」——そんなお声を、店頭でもよく耳にします。

インターネットのレシピを見ると、塩でもみ、小麦粉で揉み洗いし、牛乳に浸け、生姜とネギで下ゆでし、それを2〜3回繰り返して……と、どの工程も下処理が並んでいます。読むだけで尻込みしてしまう方も少なくないはずです。

福島県で父の代から精肉店を営んでおります、肉の滝沢の滝沢と申します。先日、豚白モツを1頭分——大腸・小腸・直腸・ガツをまとめて——下処理から煮込みまで実際にやってみました。

豚白モツの臭み取りで一番大事なのは、下処理のテクニックではなく「鮮度」です。

今回、私が使ったのは水だけ。薬味も小麦粉も牛乳も一切使わず、水の下ゆでを強火で2時間——それだけで、臭みなく仕上がりました。

読み進める段階では、「モツ煮って意外とシンプルにできるものなんだ」と感じられるはずです。

なお、白ホルモンの基本の下処理とレシピについては、以前「放るもん」から「いただくもの」へ ― 豚・白ホルモンの下処理とレシピでも紹介しました。今回はそこからさらに一歩踏み込んで、1頭分をまるごと下処理する現場の視点でお伝えします。

目次

豚白モツとは?大腸・小腸・直腸・ガツの部位別の特徴

「白モツ」とか「白物(シロモノ)」という言葉、精肉店では日常的に使いますが、一般のご家庭ではあまり見られないかもしれません。

まず、この白物というものが何を指すのか、そしてどんな部位から成るのかを整理させてください。

白物とは「豚の消化管一式」のこと

白物とは、豚の内臓のうち胃と腸——ガツ(胃)・小腸・大腸・直腸(テッポウ)——を総称した呼び方です。屠場では豚の体から連続した消化管を取り出し、それを部位に分けて流通させます。

呼び方は地域によって差があり、白物という言葉で大腸だけを指す地域もあれば、小腸まで含む地域、胃も含めて白物一式とする地域もあります。

4つの部位、それぞれの個性

同じ白物と一言で言っても、部位が変わればまったく別の食材と言えるほど、食感も脂の量も違います。

  • ガツ(胃):歯応えのあるコリコリとした食感が特徴。脂は少なめで淡白な味わい。
  • 小腸:白物の中では薄くて柔らかい部位。脂は中程度で、味を吸ってくれる。
  • 大腸:プリプリとした弾力と、しっかり乗った脂の甘みが持ち味。白物の主役級。
  • 直腸(テッポウ):弾力のしっかりした食感。少し独特の風味を持つ。
小腸・直腸・大腸・ガツのラベル付き部位解説図
まな板に広げた生の白モツ

このように部位ごとに個性はありますが、うちの店では下処理の段階では4つの部位を分けず、すべて一緒に下ゆでします。その理由は、次の章と「下処理の実践編」で詳しくお話します。

1頭分を扱うことのメリット

スーパーで売られている「豚モツ」は、煮込み用として小腸を中心とした単品で売られていることが多いのに対して、精肉店で扱う白物は、大腸・小腸・直腸などが混ざった「合いもつ」であることが多いという違いがあります。

うちの店のように1頭分の白物を丸ごと扱うと、鮮度の高い状態のまま、大腸から直腸までを一気に下ゆでして、そのあと料理別に振り分けることができます。

豚白モツの下処理で「一番大事なこと」は薬味でも小麦粉でもありません

それでは、いよいよ本題です。

「モツの臭み取り下処理」で検索すると、まず出てくるのが以下のような手順です。

  • 塩をたっぷりまぶして揉み洗いする
  • 小麦粉や片栗粉をまぶして揉み込み、汚れごと洗い流す
  • 牛乳に30分〜1時間浸ける
  • 生姜・長ネギの青い部分・にんにくと一緒に下ゆでする
  • ゆでこぼしを2〜3回、多いレシピでは4〜5回繰り返す
  • 酒でアルコールごと臭みを飛ばす

どれも間違いではありません。効果があるからこそ、多くのレシピで採用されている定番の手法です。

しかし、精肉店で毎日白物を扱っている立場から、少し違う角度で見ていただきたいのです。

これらの下処理は「何のために」生まれたのか

上に挙げた工程を、もう一度よく見てください。塩、小麦粉、牛乳、薬味、ゆでこぼし——これらは全て、「臭み対策」のためのテクニックです。

では、なぜそこまで臭みを取らなければならないのか。答えは簡単で、扱っている白物に臭みがあるからです。

そして、白物に強い臭みが出る最大の理由は、多くの場合「鮮度が落ちている」ことにあります。

内臓(ホルモン)は、精肉に比べて非常に傷みやすく、時間との勝負になる部位です。空気に触れた瞬間から劣化が始まり、たった1〜2日で臭いが気になってきます。買った当日はまだ大丈夫でも、翌日にはもう臭う——ということが、実際にあります。

つまり、世に出回っている「モツの下処理レシピ」の多くは、鮮度が落ちた白物を「救うため」に発達したテクニックとも言えます。

1頭分を水だけで煮てみた話

先日、仕入れたばかりの新鮮な白物1頭分(4kg前後)を、水だけで下ゆでしてみました。塩も薬味も、小麦粉も牛乳も一切使わず、強火で2時間煮ただけです(具体的な手順は後述の「実践編」で詳しく紹介します)。

結果は、拍子抜けするほど何も起きませんでした。嫌な匂いは一切立ち上がらず、あったのは白物本来の脂の香ばしさに近い風味だけ。茹で上がりは3,500g前後から3kg前後まで縮み、プリッとした弾力のある白物に仕上がりました。

つまり、下処理の本質は「鮮度」だということです。

新鮮な白物であれば、下処理のテクニックはほとんど要りません。

逆に鮮度が落ちた白物には、どれだけ下処理を重ねても限界があります。

これは、精肉店で毎日白物を扱っている人間として、自信を持って伝えられる一次情報です。世のレシピが悪いのではなく、扱う白物の状態が前提として違うのです。

ここから先の章では、次にその「新鮮な白物」をどう見分けるのか、そして水だけで下ゆでする具体的な手順、下ゆで後の使い方まで、順にお話ししていきます。

精肉店が教える「新鮮な白モツ」の見分け方

「鮮度が9割」と言っても、じゃあその鮮度をどう見分ければいいのか。ここが読者の皆さんにとって一番の実用ポイントかと思います。

精肉店で仕入れの現場に立つとき、私が白物の鮮度を判断している基準は、大きく3つです。

①匂い——新鮮な白物は「臭くない」

一番わかりやすいのが匂いです。

新鮮な白物は、実はほとんど臭みがありません。かすかに脂の香りと内臓特有の風味があるだけで、鼻をつまみたくなるような不快な匂いは出ません。

逆に、鼻を刺すような酸っぱい匂い、アンモニアのようなツンとくる匂いがしたら、それは鮮度が落ちているサインです。この段階の白物は、どれだけ下処理をしても臭いは完全には取れません。

ご家庭でスーパーや精肉店で白物を選ぶときも、パックに鼻を近づけて、臭いが強いかどうかを確認するのがおすすめです。

②触感——弾力とハリがある

次に、実際に触れてみたときの感触です。

新鮮な白物は、表面にほどよいハリと弾力があります。

表面がベタベタと不自然にぬめる、触ったあと指先に嫌な匂いが残る——こうした状態は、避けたほうが安心です。

③見た目——ピンク色でツヤがある

視覚的なポイントとしては、色とツヤです。

新鮮な白物は、全体に淡いピンク色をしています。透明感があり、表面にツヤがあります。これが基本の姿です。

くすんだ灰色や、黄ばんだような色に変わっている、ドリップ(肉汁)が大量に出てパックの底に溜まっている——これは鮮度低下のサインです。

プロは「総合」で判断する

実際には、私は現場で白物を扱うとき、この3つを別々にチェックしているわけではありません。手に取って、匂いを感じて、目で見て——全部を同時に、無意識のうちに総合的に判断しています。

ですので、初めて白物を買う方は、上の3つを別々にチェックする、というより、「なんとなく不快に感じるかどうか」を素直に感じてみてください。

新鮮な白物を手に入れられる場所

もう一つ、正直に伝えなければならないことがあります。

スーパーで売られているボイル済みの豚モツは、下処理から時間が経っているものも少なくなく、鮮度の面では玉石混交です。

一番確実なのは、屠場と直接取引をしている精肉店、あるいは信頼できる産地直送の通販から仕入れることです。うちの店でも、豚を丸ごと扱っている関係で、白物は1頭分単位で新鮮な状態のまま入ってきます。

もしお近くに信頼できる精肉店があれば、白物の入荷日を聞いておくのがおすすめです。多くの精肉店では、白物の入荷日と販売日が決まっていて、その日のうちに売り切りとなることが多いです。

【実践編】豚白モツ1頭分の下処理|水だけ・沸騰2時間の手順

ここからが実践編です。前章までで、下処理の本質は「鮮度」であること、新鮮な白物なら水だけで下ゆでできることを伝えてきました。

用意するもの

  • 白物1頭分:大腸・小腸・直腸・ガツ一式(仕入れ時は4kg前後、カット後3,500g前後)
  • 大きな寸胴鍋:直径50cm・容量10L程度が理想です。ご家庭で1頭分丸ごとは難しい場合、量を半分に減らすか、業務用寸胴をご用意してください
  • 水:白物がしっかり浸る量
  • 調味料:なし(下ゆでの段階では、塩・薬味・酒などは一切使いません)

手順1:流水で内側の汚れを洗う

特に腸の内側には食べ物のカスや消化物が残っていることがありますので、流水に何度もくぐらせて、数回水洗いを繰り返しながら丁寧に洗います。

新鮮な白物であれば、この段階でツンとする匂いは感じられません。内臓特有の風味があるだけです。

手順2:沸騰前に「大きめ」にカットする

ここが、精肉店流の一番のポイントです。

多くのレシピでは「下ゆで後に2〜3cm幅にカット」と書かれています。でも、うちの店では下ゆでする前に、大きめにカットします。目安は5〜7cm、大きなものはそのまま、というくらいの感覚です。

なぜ大きめか。

食感とボリュームのためです。ボイルすると白物は縮みます。3,500gの白物が、ボイル後には3kg前後まで縮む——これはつまり、水分と脂が抜けて食感が引き締まる、ということです。

なぜボイル前か。

強火で2時間の沸騰に耐えられる形にするためです。沸騰前に大きめにカットしておけば、長時間の煮込みでも崩れにくく、しっかりとした食感が残ります。

このカット法は、他のレシピでは見かけない、精肉店ならではの下処理術です。

大きめにカットした白モツ

手順3:水を張った鍋で強火・沸騰2時間

カットした白物を、水を張った寸胴鍋に投入します。水は白物がしっかり浸る量。ここでも調味料は一切入れません。

火加減は強火です。多くのレシピが「弱火・じっくり」を推奨する中で、うちでは強火で一気に煮込みます。理由は、脂と水分をよく抜き、白物の食感を引き締めるためです。強火で2時間、それが精肉店の下ゆでの基本形です。

水を張った鍋に入った白モツ

手順4:ボイル中の変化とアクの処理

2時間の間に、鍋の様子には特徴的な変化が現れます。

1時間ほど経つと、水分が煮詰まってきます。白物が水面から出ないよう、その都度水を足して調整してください。強火の沸騰なので、思った以上に早いです。

時間が経つにつれて、鍋の水が白く濁ってきます。これは白物から脂とうま味が抜けて、水に溶け出しているサインです。ゆで卵の茹で汁のような、少し乳白色に近い状態になれば、下ゆでは順調に進んでいます。

アクは、沸騰直後にまとまって出てきますので、その都度お玉ですくって取ります。

強火で沸騰しアクが浮いた鍋

手順5:ゆで上がりの見極めと保存

ボイル終了の目安は、開始から2時間。この時点で白物を1つ取り出して、噛んでみます。プリッとした弾力を残しつつ、噛み切れる柔らかさ——これが精肉店の目指すゆで上がりです。

ゆで上がった白物は、ざるにあげて余分な水気を切ります。1頭分・3,500gからスタートした白物は、この段階でおよそ3kg前後まで縮んでいるはずです。

ここから先は、料理別に振り分けていきます。次の章で詳しくお話します。

下処理した1頭分を3つに分ける|部位別・料理別の使い分け

うちの店で1頭分の白物を下ゆでしたあと、どうするか。

答えはシンプルです。3つの料理に振り分けて、それぞれの味わいを楽しみます。

なぜ3つに分けるのか。理由は2つあります。

1つは、白物というのは1料理で使い切るには量が多すぎるから。1頭分3kgの茹で済み白物を全部モツ煮にすると、それはそれで美味しいのですが、飽きが早く来ます。同じ食材を、異なる調理法で仕立てることで、最後まで飽きずに楽しめるのです。

もう1つは、白物という食材の懐が広いから。煮込み、揚げ物、炒め物——どの調理法にもハマる素材なので、せっかくの1頭分を1つの料理に閉じ込めるのはもったいない。

①味噌ベース煮込み用(もつ煮込み)

目安の量:茹で済みの白物 約1/3(1kg前後)

大腸を中心に、小腸・直腸を混ぜて味噌ベースの煮込みに仕立てます。白物の中でも脂が乗って甘みのある大腸は、味噌との相性が抜群で、モツ煮のうま味の柱になります。

うちの店の「もつ煮込み」は、下ゆで後さらに2日間かけて仕込みます。詳しい工程は、この後の「精肉店のもつ煮込み」の章で紹介します。

②塩味唐揚げ用(もつ塩唐揚げ)

目安の量:茹で済みの白物 約1/3(1kg前後)

ガツと小腸を中心に、塩味の唐揚げにします。茹で済みの白物に片栗粉をまぶし、油で揚げる。仕上げの味付けには、上北農産の業務用「スタミナ源塩焼のたれ」を使っています。

家庭で真似する場合は、揚げ上がりに塩・こしょう・レモン汁で仕上げても十分美味しく仕上がります。ただ、「これぞ」というプロの味を求めるなら、市販のスタミナ源塩焼のたれを使ってみてください。

③味噌味炒め用(もつ味噌ホルモン焼き)

目安の量:茹で済みの白物 約1/3(1kg前後)

大腸と直腸を中心に、味噌味の炒め物・ホルモン焼きに仕立てます。茹で済みの白物と野菜(玉ねぎ・キャベツ・もやしなど)を、味噌ダレで一気に炒める。仕上げの味付けには、日本食研の業務用「ホルモンのたれ」を使っています。プロの現場で長年愛用されている業務用調味料なので、白物の脂の甘みと味噌の濃度がしっかり調和します。

家庭で作る場合、市販のホルモン焼きのたれを使うのが一番手軽で、味も安定します。凝るなら、味噌・醤油・みりん・にんにく・生姜を合わせた自家製ダレでも美味しく作れます。

保存の目安

茹で済みの白物は、水気をよくきってから、料理別にジップロックなどの保存袋に小分けしてください。

  • 冷蔵:2〜3日以内が目安
  • 冷凍:1ヶ月程度は美味しく食べられます。冷凍する場合は、なるべく空気を抜いて密封するのがコツです

1頭分をまとめて下ゆでして、料理別に小分け冷凍しておく——このやり方なら、平日の夜でも「茹で済みの白物を袋から取り出して料理するだけ」というお手軽さで、本格的なモツ料理が楽しめます。

【レシピ】精肉店のもつ煮込み|下処理済み白物で作る店の味

ここでは、うちの店「肉の滝沢」で実際に作っている、もつ煮込みのレシピをご紹介します。下ゆでした白物を、さらに2日かけて仕込む工程です。手間はかかりますが、特別な技術は必要ありません。

材料(作りやすい分量)

  • 下ゆで済み白物:1kg前後(「下処理の実践編」で仕込んだもの)
  • 長ねぎ:1本(太さにより2本)
  • にんにく:1個
  • しょうが:1パック
  • ごま油:大さじ2
  • 水:適量(具材がしっかり浸る量)
  • 味噌:大さじ2
  • 醤油:大さじ2
  • 酒:大さじ2
  • みりん:大さじ2
  • 本だし:小さじ1
  • 無調整豆乳:100ml
  • 長ねぎ(小口切り、仕上げ用):適量

野菜(大根・にんじん・こんにゃくなど)は入れません。長ねぎ・にんにく・しょうがの薬味と、白物本来の脂の旨みだけで仕立てるのが、うちの店のもつ煮込みです。

精肉店の「黄金比」は「1:1:1:1」

うちの店の味付けの黄金比は、味噌:醤油:酒:みりん=1:1:1:1です。

多くのレシピでは、「味噌を主役に、醤油と酒を控えめに」といったバランスが一般的ですが、うちの店ではこの4つを同量で使います。白物の脂の甘みが強く出るので、4つの調味料を対等に効かせたほうが、味の輪郭がはっきり出るのです。

さらに、仕上げに本だしと無調整豆乳を加えます——これが精肉店流の「味の仕上げ」です。本だしがモツ煮の味の底を整え、豆乳がまろやかさとコクを乗せてくれます。

作り方

  1. 薬味を炒める:長ねぎ・にんにく・しょうがをみじん切りにし、ごま油で香りが立つまで炒めます。
  2. もつと合わせて煮込む:下ゆで済みの白物を加えて炒めた薬味と絡め、水を注いで1時間ほど煮込みます。
  3. 一晩寝かせる:火を止めて粗熱を取り、冷蔵庫に入れて一晩置きます。
  4. 翌日、再加熱する:鍋に少量の湯を加えて沸騰させ、30分ほど煮込みます。
  5. 調味料を加える:味噌・醤油・酒・みりんを大さじ2ずつ同量で加え、少し煮込みます。
  6. 味を整える:本だしと無調整豆乳を加え、中火で数分煮ながら味を整えます。器に盛り付け、小口切りの長ねぎを乗せて完成です。
薬味と絡めて煮込むもつ

初心者がつまづきやすいポイント

  • 薬味はしっかり炒める:ごま油で香りをしっかり引き出しておくと、野菜を使わなくても味に厚みが出ます。
  • 一晩寝かせる工程を省略しない:「その日のうちに食べたい」と思っても、寝かせる工程を入れるかどうかで味が全然違います。
  • 味噌は煮込みすぎない:香りが飛ぶので、味を調えたあとは長時間煮込まず、数分で仕上げます。
  • 豆乳は最後の仕上げに:早く入れすぎると分離しやすいので、味噌などで味を調えたあとに加えます。
  • 辛味が欲しい場合は七味唐辛子:食べる直前に、お好みで振ってください。福島ではこの食べ方が定番です。

このレシピを店の味に近づけるコツは、丁寧に工程を守ることの一言に尽きます。特別な技術はいりません。茹で済みの白物と、1:1:1:1の調味料と、一晩寝かせる時間さえあれば、精肉店の味は家庭でも再現できます。

1頭分を扱うのが難しい方へ

ここまで、豚白モツの下処理から料理別の使い分け、そしてモツ煮のレシピまで伝えてきました。

「自分でもやってみたい」——そう感じた方には、ぜひ挑戦していただきたいのですが、実際には以下が必要になります。

  • 直径50cm・容量10Lの寸胴鍋をご用意すること
  • 3〜4kgの白物を下処理する時間と労力
  • 強火で2時間沸騰する間、目を離せない時間
  • 煮沸後、料理別に振り分ける手間

「読んでみて、思ったよりハードルが高かった……」と感じられた方もいらっしゃると思います。

店頭では、もつ煮込み・唐揚げ用・ホルモン焼き用をご用意しています

うちの店頭では、下処理を終えた白物や、仕込み済みのもつ煮込みを販売しています。

  • 肉屋の手作り豚もつ煮込み(この記事でご紹介した黄金比のレシピで仕込んだ完成品)
  • もつ塩唐揚げ用(下処理済み・生。ご自宅で揚げるだけ)
  • もつみそホルモン焼き用(下処理済み・生。ご自宅で野菜と炒めるだけ)
  • 白もつ1kg(冷凍・真空パック。まとめて下ゆでした状態のもの)

揚げ物やホルモン焼きの惣菜は、調理した時点で消費期限がほぼ「即日」になってしまうため、現状は店頭販売のみで、冷凍での通販には対応できていません。もつ煮込みも含めて、通販での取り扱いは準備中です。整い次第、このブログでお知らせします。

器に盛られたもつ煮込みが並ぶ様子

遠方で来店が難しい方へ

「白河までは行けないけど、白モツ料理を試してみたい」という方のために、通販で買えるお店も紹介しておきますね。国産・ボイル済み(下ゆで済み)の白もつなので、この記事のレシピをそのまま試せます。

よくある質問(FAQ)

読者の方からよくいただくご質問と、その回答をまとめました。

Q1. 冷凍の白物や、圧力鍋を使う場合でも同じ手順でいいですか?

冷凍前の状態が新鮮であれば、解凍後も水だけの下ゆでで臭みは取れます。時短したい場合は圧力鍋も使えて、その場合は20〜30分程度で下ゆでが完了します。

Q2. 下ゆで2時間は長すぎませんか?

強火で2時間というのは、白物を「崩れずに、しっかり食感を残した状態」で仕上げるための時間です。精肉店として最も美味しいと考える下ゆで時間は、強火2時間がベースです。

Q3. 部位を混ぜて下ゆでしても、味は落ちませんか?

落ちません。むしろ、部位ごとの脂と旨味が下ゆでの過程で溶け合って、白物全体の味わいが豊かになります。下ゆで後、料理に合わせて部位を選んで振り分ければ、それぞれの料理に合った食感と味わいを引き出せます。

Q4. 1頭分は何人分の料理になりますか?保存はどれくらい可能ですか?

1頭分(下ゆで後3kg前後)は、目安としてモツ煮なら20人分以上、3つの料理に振り分けても十分に大人数分を賄えます。ご家庭で消費する場合は、料理別に小分けして冷凍保存を。

Q5. 白物と赤物の違いは何ですか?

「白物」は消化器系(胃と腸)、「赤物」は心臓・肝臓・腎臓など血の通う内臓を指します。白物は淡白でクセが少なく、下処理と煮込み調理が中心です。一方の赤物は鉄分やビタミンが豊富で、レバーとして焼き物や炒め物に使うのが一般的です。この記事の内容は白物向けですので、赤物の場合は下処理の方法が異なる点にご注意ください。

Q6. 精肉店で白物を買うとき、何を聞いたらいいですか?

「今日入ったばかりの白物ですか?」と聞けば、そのお店の白物の鮮度がわかります。次に、用途を伝えて相談するのがおすすめです。「モツ煮を作りたい」「唐揚げにしたい」と伝えれば、部位を選んで提案してくれるお店が多いです。

まとめ|「鮮度」と「丁寧な下ゆで」が、モツ料理を店の味にする

長くなりましたが、この記事で伝えたことを3つにまとめます。

  • 豚白モツの臭み取りの本質は、下処理のテクニックではなく「鮮度」
  • 新鮮な白物なら、水だけの下ゆで2時間で十分に臭みは取れる
  • 1頭分をまとめて下ゆでし、3つの料理に振り分ければ最後まで飽きずに楽しめる

多くのモツ煮レシピで書かれている「塩もみ・小麦粉揉み・牛乳・薬味と下ゆで・ゆでこぼしを加える」という手順は、鮮度が落ちた白物を救うためのテクニックです。

ご家庭で挑戦してみたい方は、まずはお近くの精肉店で新鮮な白物を仕入れ、この記事の手順で1回作ってみてください。

「自分で1頭分を下処理するのは難しそう」と感じたら、うちの店頭で下処理済みの白物や、調理済みのもつ煮込みをお求めいただけます。この記事でお伝えしたのと同じ工程・同じ黄金比で仕上げていますので、店の味をそのままお楽しみいただけます。

福島県の白河、肉の滝沢は、父の代から続く精肉店です。豚を1頭分単位で扱えるので、新鮮な白物を店頭でご用意できます。通販での取り扱いは準備中ですので、整い次第このブログでお知らせします。モツ料理のご相談やご質問がございましたら、ぜひお気軽に店舗までお問い合わせください。

あなたの食卓にも、精肉店の「店の味」を届けられたら嬉しいです。

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