肉はたんぱく質源として毎日食べたい一方で、焼肉のタレや下味、加工肉で塩分が思いのほか積み上がります。精肉店「肉の滝沢」2代目が、肉を毎日食べる時の塩分対策の工夫をまとめました。
結論から言うと、塩分を抑えるコツは「酸味・だし・香りで味を立てる」「かけるよりつける・表面に味付け」「加工肉と汁物を控えめに」「カリウム野菜で排出サポート」の4本。塩味を減らしても美味しく食べられる工夫です。1日の塩分目安は男性7.5g未満・女性6.5g未満(高血圧の方は6g未満)が目標です。
1日の塩分目安と現状
日本人の1日の塩分摂取量は約10g前後と、目標を大きく上回っています(厚生労働省・国民健康・栄養調査)。各機関の目安は以下の通りです。
| 機関 | 1日の塩分目安 |
|---|---|
| 厚生労働省(日本人の食事摂取基準) | 男性7.5g未満/女性6.5g未満 |
| 日本高血圧学会(高血圧治療ガイドライン2019) | 高血圧の方は6g未満(正常な人にも6g未満推奨) |
| WHO(世界保健機関) | 5g未満 |
体に必要な塩分は1日1.5g程度といわれています。今の食生活から1日1〜2g減らすだけでも血圧への影響が期待できるので、まずは「少しずつ」が大切です(日本高血圧学会)。
肉料理の塩分を減らす5つの工夫

1. 酸味で塩味を引き立たせる
お酢・レモン・減塩ポン酢を少量加えると、塩味が強く感じられます。酢の物やレモン汁をひと回しするだけで、塩や醤油を減らせます。鶏むね肉のレモン蒸しや、豚のしょうが焼きに減塩ポン酢を少量かけるなどがおすすめです。
2. だし・旨みで味に深みを出す
昆布・かつお・煮干しのだしを効かせると、塩分を減らしても満足感が上がります。煮物や炒め物のベースにだしを使うのがコツ。顆粒だしを使う場合は、食塩無添加・減塩タイプを選ぶと安心です。
3. 香り・香味野菜で風味を足す
ねぎ・しょうが・にんにく・大葉・ごま・黒こしょうを加えると、塩分を減らしても風味豊かになります。特に焼肉や炒め物では、香味野菜をたっぷり使うとタレの量を減らせます。
4. 表面に味をつける
味を中まで染み込ませると塩分を使いがち。食べる直前に表面に味をつける、または「つけダレ」にして食べると、少量の塩味で満足できます。ステーキは焼き上がりに塩を軽く振る程度で十分です。
5. 切り方を工夫して表面積を増やす
薄切り・細切りにすると表面積が増え、少量の調味料でも味が絡みやすくなります。肉を大きいまま煮込むより、細切りにして味付けを軽くするほうが塩分を抑えられます。
調味料の使い方を変える
- かけるより「つける」:ソースやドレッシングをかけるより、小皿につけて食べるほうが使用量が減ります。焼肉のタレもつけながら食べるのがおすすめ。
- 減塩調味料を活用:減塩醤油・減塩みそ・塩こうじなど。塩こうじは塩分を含みますが、少量でもうまみが出るため、使いすぎに注意すれば下味に便利。減塩タイプを選ぶのもおすすめ。
- 濃い色で見た目を補正:薄口醤油より濃口醤油、穀物酢より黒酢・バルサミック酢を使うと、見た目からも満足感が出ます。
- 主菜しっかり・副菜薄味:味にメリハリをつける。肉料理に味を少し濃いめにつけ、副菜は無塩や極薄味にすると、全体の塩分が抑えられます。
- 適温で食べる:冷めると塩味を感じにくくなり、つい濃くしがち。温かい料理は温かいうちに食べると薄味でも満足できます。
加工肉・汁物・タレの落とし穴
- 加工肉は塩分が多い:ハム・ソーセージ・ベーコンは塩蔵加工のため塩分が多め。毎日続けるより頻度を控えめに。使うときは塩を足さず、少量を「調味料代わり」に使うのがコツ。
- 汁物は1杯で1.5〜2g:みそ汁1杯の塩分は約1.5〜2g。1日1杯にする、減塩みそを使う、具を多めにして汁を少なめにするなどの工夫を。汁は飲み干さず残すのも一手。
- タレ・麺汁は飲まない:焼肉のタレ、そうめんのつけ汁、ラーメンのスープは塩分が濃縮されています。食べる分だけ使って、残した汁は飲み干さないのが鉄則。
- BBQソースは後がけ:自家製でも市販でも、タレは糖分と塩分が多いので焼きながら塗らず、焼き上がってから絡めるか、つけながら食べる。詳しくは自家製BBQソースの作り方で。
カリウムで排出をサポート
カリウムには、余分な塩分(ナトリウム)を体から排出する働きがあります。肉料理に野菜・芋・果物を組み合わせると、減塩と排出サポートの両方ができます。
| カリウムが豊富な食材 | 組み合わせ例 |
|---|---|
| ほうれん草・小松菜 | 豚肉とほうれん草の炒め物 |
| さつまいも・じゃがいも | 肉じゃが |
| トマト | 牛肉のトマト煮込み |
| きのこ類 | 豚肉としめじの蒸し物 |
| バナナ・アボカド | 食後のフルーツ |
| 海藻類(昆布・わかめ) | 酢の物・汁物 |
ただし腎臓病の方はカリウム制限が必要な場合があるため、かかりつけ医に相談してください。健康な人でも、サプリではなく食品から摂るのが安全です。
毎日の塩分対策チェックリスト
- かける調味料を「つける」に変えているか
- 酸味(酢・レモン)・だし・香味野菜で味を立てているか
- 減塩醤油・塩こうじなどを取り入れているか
- 加工肉が毎日続いていないか
- 汁物は1日1杯、汁を飲み干していないか
- 肉料理にカリウム野菜(ほうれん草・芋・トマト)を組み合わせているか
- タレ・麺汁を飲み干していないか
全部は難しくても、できるものから1つずつ。1日1gの減塩でも積み重なります。
よくある質問
肉料理を毎日食べると塩分が多くなりますか?
調理法と味付けによります。焼肉のタレをたっぷり、加工肉のベーコンやソーセージを使えば塩分は積み上がります。一方、赤身肉を酸味・だし・香味野菜で味付けし、タレはつけながら食べれば1食あたり1g未満に抑えることもできます。部位選びと味付けの工夫次第です。
焼肉のタレの塩分はどのくらい?
市販の焼肉のタレは大さじ1(約15g)で食塩相当量約0.7〜1g程度が目安です。つけすぎるとあっという間に増えます。かけるよりつけながら食べる、または自家製で塩分を調整するのがおすすめです。
減塩醤油は味が薄くて物足りないのですが
酸味(酢・レモン)やだし、香味野菜を組み合わせると、減塩でも味に深みが出ます。また、濃い色の調味料(濃口醤油・黒酢)を使うと見た目からも満足感がアップします。表面に味をつける・適温で食べる工夫も効果的です。
カリウムを多く摂れば塩分をたくさん食べても大丈夫?
いいえ。カリウムは塩分の排出を助けますが、摂りすぎた塩分を完全に相殺できるわけではありません。基本は塩分を控え、それをカリウム野菜でサポートするのが正しい組み合わせです。なお腎臓病の方はカリウム制限が必要な場合があるため、かかりつけ医にご相談ください。
高血圧なんですが1日何gまで食べればいいですか?
日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の方は1日6g未満を推奨しています(日本高血圧学会)。ただし個人の状態によって適切な量は異なるため、具体的な目安はかかりつけ医にご相談ください。
まとめ
肉を毎日食べる時の塩分対策、おさらいです。
- 1日の塩分目安 — 男性7.5g未満・女性6.5g未満(高血圧は6g未満)
- 味を立てる — 酸味・だし・香り・表面味付け・切り方工夫
- 調味料の使い方 — かけるよりつける、減塩調味料、メリハリ
- 落とし穴を避ける — 加工肉・汁物・タレ・麺汁を控えめに
- カリウムで排出 — 野菜・芋・果物を肉料理に組み合わせる(腎臓病は医師相談)
- 少しずつ — 1日1gの減塩でも血圧への影響が期待できる
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