インスリンの保管と温度管理 ― 1型糖尿病28年の工夫

キッチンで笑顔で肉を切る店主、インスリンペンとハートのアイコンが添えられたイラスト

こんにちは、がくです。福島県白河市で肉屋「肉の滝沢」をやっています。

今回は、インスリンの保管と温度管理について書いてみようと思います。実はこれ、肉屋という仕事の経験がそのまま役立っている分野で、自分にとっては数少ない「病気と仕事がつながっている」実感がある工夫でもあります。

インスリン保管の基本のおさらい

まず基本の知識として、未開封のインスリンは冷蔵庫で2〜8℃を目安に保管し、使用中のインスリンは常温(おおむね30℃以下)で保管できるとされています。ただし、使用の度に冷蔵庫と常温を出し入れすると、注入器の内部に結露が生じて故障の原因になることがあるため、使用中のものは基本的に冷蔵庫には戻さないほうがよいそうです(m3.com 薬剤師コラム)。

夏場は特に注意が必要で、駐車中の車内は50℃を超えることがあり、日の当たらない後部座席でも40℃以上になることがあると言われています(糖尿病ネットワーク)。逆に冬場は、車内や冷蔵庫の冷風が直接当たる場所で0℃を下回ることがあり、一度凍結したインスリンは解凍しても品質が元に戻らないため、そうなったものは使用しないことが推奨されています(糖尿病ネットワーク)。

精肉店の温度管理の経験がインスリン保管に生きている

お店では、冷蔵庫の温度管理は本当に重要な仕事のひとつです。数時間単位で温度を確認し、扉の開け閉めの回数まで気にする。これは、お肉の鮮度と安全を守るために毎日欠かせない習慣です。

この習慣が、そのままインスリンの保管にも生きています。自宅では、未開封のインスリンは冷蔵庫の中でも比較的開け閉めが少なく、温度が安定している場所を選んで保管するようにしています。お店で「この棚は開け閉めが多いから温度が上下しやすい」と体で覚えている感覚を、そのまま自宅の冷蔵庫にも当てはめている感じです。

また、一定の温度を保つように確認し、必要があれば置き場所を見直すという姿勢も、お店の温度管理で培った習慣そのものだと感じています。

実は私自身、これまでにインスリンを凍らせてしまい、泣く泣く廃棄した経験があります。あの時の失敗は、今でも自分にとって大きな教訓になっています。

お店の冷蔵庫でも、「これは凍りすぎている」と冷えすぎに気づいたことがありますし、逆に停電で庫内が温まってしまったこともありました。冷えすぎも温まりすぎも、どちらも痛い目を見て学んできたからこそ、「ちょうどいい温度を保つこと」の大切さが、身体で分かっているのだと思います。こうしたお店での温度管理の習慣や対策が、結果的に自分のインスリン管理にも大きく役立っていると感じています。

持ち運ぶときに気をつけていること

通院や配送、外出のときは、保冷効果のあるポーチを使っています。特に夏場は、そこに保冷剤をプラスして温度上昇を防ぐようにしています。

ここで気をつけているのが、保冷剤をインスリンに直接当てないことです。保冷剤が直接触れると、一時的にでも凍ってしまうことがあり、そうなったインスリンは残念ながら破棄しなければなりません。ですので、保冷剤はポーチの外側から当てるようにしています。この一手間で、冷やしすぎによる凍結を防ぎつつ、必要な保冷効果を得られると感じています。

実際、冷蔵庫で冷やした保冷剤はタオルで包んでからインスリンと一緒に保冷バッグに入れることが推奨されています。凍結すると品質が変化したり、注入器の故障につながる可能性があるため、冷やし方にも工夫が必要なのだそうです(m3.com 薬剤師コラム)。

今日から意識できること

  • 冷蔵庫の中でも、開け閉めが少なく温度が安定している場所を選んで保管する
  • 保冷剤を使うときは、薬に直接当てず、ポーチやタオル越しにする
  • 変色や凍結の疑いがあるものは、もったいなくても迷わず新しいものに切り替える
  • 自分の仕事や暮らしの中にある「温度管理の知恵」を、他の場面にも応用できないか考えてみる

おわりに

病気の管理というと、つい医療的なことばかりに目が向きがちですが、こうして振り返ってみると、自分がこれまで仕事で培ってきた感覚が、思わぬところで役に立っていることに気づきます。肉屋としての経験が、自分の体を守ることにもつながっている。そう思うと、日々の温度チェックにも少し違った気持ちで向き合えるようになりました。次回もまた、日々の暮らしの中で見つけた工夫について書いていこうと思います。

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